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8月21日

ETAP-8 TOTAL:474.38km
マンダルオボー→ウランバートル
SS 413.94q/リエゾン34.74q/パレード25.70q

2年分のゴール
教訓:人も車も大事なバランス


ナビゲーションは最後の日まで難しく、オンコースを見つけられた選手はたった3名ほどだった。ラリーレイドで起きる事故やミスコース等のトラブルは、選手自身が作ってしまうもの。しかし誰だってミスをする。肝心なのはその後の処置だ。困った時こそあわてない冷静さ、相手を信頼する勇気、相手を許す寛大さ、相手を誉める余裕、その少しの思いやりと平常心が予防策になり解決策になる。ナビゲーターとドライバーの両方を経験させてもらったおかげでほんの少しだが、それぞれの精神状態が判った気がする。ラリーレイドに必要なモノは多かった。しかしその反面、これほど誰でもどの車でも、自分なりに楽しめるモータースポーツもないと思った。もちろんスピード競技なので順番はつけられるが、ラリーレイドが持つ魅力・求める意義は人それぞれに違いがあり、本人にとっては成績だけで評価するほど単純なモノではなさそうだ。お金も労力も充分かかるラリーレイドは私たちにはほど遠い世界に思えるが、実は誰でも楽しめ誰でも主役になれる唯一のモータースポーツなのかもしれない。ただし自然のルールは甘くないが・・・


出場を決めてからのこの一年、常にこのラリーのことが頭から離れなかった。もしも完走できてゴールできた時にはどんなに感激するものかと、ずっと思い描いていた。ところが実際SS終了地点に無事到着した私は素直に喜んでいなかった。何か胸に引っかかってた。悔しく、淋しく、でもホッとする・・・なんとも複雑な気分だった。

ゴール地点に向かう最後のパレードで、ルートブックの最後のコマ図に書き示された言葉を運転する私に菅原が読んでくれた。「あなたの夢は、ここにひとつ達成された。心からおめでとう」 おかげで私は前がぼやけて見えなくなってしまった。

「女性だからというだけで注目される時代は終わった。これからは女性も実力の時代」だと競技に関してことのほか厳しい菅原から言われてきた。私もモータースポーツには男女の区別はいらないと思う。速い者が勝つ、それだけだからだ。単なる話題性でもてはやされる女性選手にはなりたくないと思っていた。しかし私はまだその女性という、自分という甘えの域から脱していないことに気がついた。ゴールしたときの胸のつかえはそれだったんだ、と今思う。菅原とモンゴルの大地が教えてくれたことは、両手いっぱいの自分への土産になった。それと一緒にこれからの課題も持って帰ってきた。

最後になりましたが、完走をサポートしてくださったブリヂストン、小糸製作所、八弘、アライヘルメットを始め、貴重な体験の場を作っていただいた主催者SSERに心よりお礼申し上げます。