■スリッパ「モンゴルへ往く」 リベンジ編
『亀の子』 5日目(8月11日) BARUUN BAYAN ULAAN−ZOUMOD
いつものように枯れ川を下ろうとしたら、ないんです、道が。
パニックブレーキで横向きになりながらも何とか止まれたと思ったら、車の重みで一気に土が崩れだし、スリッパの右半分が下にずり落ちてしまいました。車高が低いので転倒はしませんでしたが、リアタイヤは空転しっぱなしで縦型の亀の子状態です。スペアータイヤとジャッキで格闘すること1時間、#23渡辺選手も後ろから押してくれて、無事に脱出成功しました。
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『あばれ馬』 7日目(8月13日) ZOUMOD−HONGOR
休息日明けのこの日はまだ暗闇の中からスタートし、前方には2、3台のテールランプが揺れながら一定間隔でつながっていました。朝日も昇って大地も険しくなった頃、急にガツンと嫌な感触がハンドルから伝わり、突然スリッパは私の意思に背いていきなりピストから飛び出しました。
「???」慌てて降りて下を覗いて見るとステアリング・ギアBOXと右タイロッドを連結している加工したパーツの熔接部分が折れているではありませんか。参ったなぁ。ハンドルを切っても右のタイヤは全く動かないのです。この先キャンプ地まではまだ380kmもあるのに、これはもしかしてリタイヤ!?
しばらく呆然としていましたが、ダメさ具合を確かめるため、そーっと車を動かしてみると、あらら、結構進めるのです。不安定な感じはありますが、ゆっくりゆっくり進めば、移動することはできそうです。でもキャンプ地まではこの先380km・・・。これでどこまでこれで行けるんだろう、夜になるのは間違いない、何か良い対策はないのだろうか・・・。
しかもこういう日に限ってやたらギャップが多かったり、砂っぽかったりするのです。直線的な固い路面では何とか道に沿って進んでくれますが、ひとたびギャップ越えをしたとたん、右タイヤは勝手に向きを変え、ピストを無視し予測不可能な行動に出ます。最初のうちは何とか言うことをきかせようと強引に押さえ込もうとしたり、そのたび車を降りて手でタイヤの向きを変えたりしていましたが、無理に向かせるのではなく動きに合わせてあげた方がスムーズかと思い直し、左に逸れればそのまま大きく一周してからピストに返る、といったように気長に進んでいきました。しかしそれも平らな所でしか通用せず、ラクダ草などの障害物があるところでは、そうはいきません。途中大きならくだ草にお腹がつかえ、脱出に1時間かかった時もありました。
途中子供や現地の人が手を振って見てくれているので、バギーとしてはカッコいいところを見せたいのですが、それなのにやたら遅くて、突然廻って、しまいにラクダ草に突っ込んで・・・。バギー台無しです。
思うように針路変更もできず、ナビゲーションが怪しくなった頃、Z1(カミオンバレー隊)に会ってしまいました。どうも中国へ向かっていたようです。今年こそは会いたくなかったZ1も、困っている時は神様にも思えます。
そしてラッシングベルトで右タイヤを固定したら数段走りやすくなり、適度なスピードも出せるようになりました。
この日のゴールはホンゴルという国立公園のキャンプ場で、そこに行くまでには大きな砂丘の合間をぬって柔らかい砂地を越えていかなければならず、なのに私は二駆だし、ステアリングが効かないし、もうすぐ真っ暗になって何も見えなくなっちゃうし・・・。
陽はとっくに落ちて、その余韻だけで見えるものだけを頼りに、2度ほどスタックをしながらも脱出板でなんとか砂地を切り抜け、明かりのついたゴールに滑り込んだ時にはもう真っ暗でした。ところがこの日も溶接機がないことを知らされて、ガーン!
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