・・・というのも、出場車両として選んだ軽自動車のジムニーにとって、高速走行は苦手分野。しかし(私流の勝手な解釈によれば)それは絶対スピードが遅い分、より長〜い時間ジムニーに乗っていられるということにつながるわけだ。=イコールそれは、“より多くの時間ラリーレイドを満喫できる”という、なかば開き直った傲慢な結果にたどり着く。そんなわけでジムニーのおかげなのか、ミスコースのおかげなのか、制限時間めーいっぱい使ってモンゴルを堪能した私達だった。
車はなにがよいかと、毎日作戦会議?を開いた。条件は“お金をかけず、おもしろく!”。そこでスポットが当てられたのがハンディキャップも多いけど愛着も強い軽自動車。「そうなるとやっぱりジムニーがいいんじゃない?」・・・と、みんなの視線が私のジムニーに集まった。「いいのがあるじゃない・・・。」実はこのジムニー、友人の口添えで解体屋さん行きの事故車を譲ってもらい、20万円で修理・塗装し生き返らせたもの。またスペアーパーツやラリー用品の多くは、ラリーに出ている先輩方から快く分けていただきリサイクル。さらにありがたいことは「軽自動車のエントリーフィーは10%割引」という粋なレギュレーション。うんうん、これなら安上がり。
さて肝心のモンゴル仕様の改造はというと、これまた最低限にとどめ安上がり。ちょっとの失敗でも命取りのジムニーだから、さぞかしバッチリ補強を入れまくるのかと思いきや、お決まりのロールバーを入れただけ。足廻りのセッティングも、ショックアブソーバーとリーフサスペンションを強化しただけで、取付方法・本数は変えていない。タイヤは、純正サイズのブリヂストン DUELER A/T 693をチョイス。「最後の仕上げはアルミホイール。お洒落は足元から決めなくっちゃ」とルンルン気分でカタログを見ていると「純正の鉄チンホイールで行くぞ」と菅原。補強ゼロといい、簡単すぎる足廻りのセッティングといい、私のイメージと逆の展開に、理解できずに戸惑った。「壊れやすいから必要なんじゃない?いくらお金をかけないっていったって・・・」そんな私の心配をよそに「壊さないで走ればいいんだよ。見てればわかるよ」とあっさり。その意味はゴールしてからやっとわかった。
今年で5回目を数える『ラリーレイド・モンゴル』。首都ウランバートルをスタートした2輪と4輪を合わせた51台は、モンゴル国内を反時計回りに、約4100qを8日間で走破する。バラエティに富んだ大自然の壮観な景色に、競技中でもウットリさせられる。広大な緑色のじゅうたんにはホッと心が和んだ。アルプスの少女ハイジや孫悟空、ジンギス・ハーンを次々と想像させるモンゴルの大地。鋭くけわしい男性像とおだやかで重みのある女性像の両面が上手くマッチした、自然と時間が造り出した彫刻作品のような山々。川も、狭谷も、ゴビの砂丘も全て越えたエントラント達は、再びウランバートルに戻りゴール。エントラントの数は全体では増えたものの、例年になく厳しい経済状態を反映してか、オート部門は3台だけのエントリー。驚くことにドライバーは3人ともそろって50歳代。しかも今年の2輪の完走率が50%という厳しいレース展開のなか、オート部門の3台は完走率100%というから、50歳代パワーはスゴイッ!


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