最後のチャンス
いよいよ迎えたETAP7。意外にも夜はよく眠れ、万全の体制。
しかし差は12分半と大きなものです。果たして、逆転することはできるのだろうか。
SSのスタート前にエルデニズー寺院で記念撮影をしました。スタートからずいぶん台数が減ってしまって、少しさびしい気分です。]
SSは今日も尾上組が僕らの前でスタート。今日、挽回しないとチャンスがないことは尾上さんも知っているので、全開で走ります。
僕たちはもちろん全開の全開。速度の差はタイヤに要因があるため、どうしようもできず、この日もアベレージ速度が高いため、おそらく、それまでは引き離されつつあったと思います。
しかし、スタートから53km地点でそれは起こります。
なんの変哲もない平らな地面で、少し丘になっているような場所でした。右前方に赤いジムニーがこちらを向いて止まっています。近づくと、窓ガラスはかなりのヒビが入り、ボディーも凹みが目立ちます。転がったのだと一目にわかるほどひどい状態でした。少し速度を緩め、声をかけると、ナビの松田さんがガラスで指を怪我したこと以外、体は平気とのことでした。僕たちは約束どおり、止まらずにその場を去りました。
実は、ラリーのスタート前に会長と尾上さんはこんな約束を交わしていたのです。
それはお互いの車が止まっていても、相手が生死にかかわる状態でない以上、助けない。というものです。すごく冷たく感じますが、それがこの「親父たちの熱き戦い」のシビアなところ。しかし、やはり会長は本当に止まらなかったことが心に引っかかったのか、その後、車内で「止まらなかったのは、ちょっと冷たかったかな」などとつぶやいていました。しかし、その後すぐに「あいつは本当にしぶといからなあ、1時間くらいで修理して、走ってくるから、油断できないぞ」と、スピードを少し緩めつつも走り続けました。僕は車載している無線機で主催者に連絡、この時、尾上さんもヘリを呼んでいたようです。
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