紅白ナビ合戦
前日、突然のレストデイ(休息日)をいただき、準備も体調も万全でETAP3の朝を迎えました。
完璧な晴天。夏ですがモンゴルの朝夕はとても寒いです。トイレはもちろん外。草原ですから、風がすーすーと、青空のもと大自然のトイレは寒かったです。
この日はループのステージなので、同じビバークに帰ってくるので荷物は必要最低限。各車、雲ひとつない青空の下スタートしていきます。宿敵の赤いジムニーは4台前、ということは仮に尾上さんより早くゴールすれば、約4分を挽回できる計算です。じわじわと差をつめていきたいなと考えながら、いよいよスタート。走り始めてからしばらくは、道がクネクネしていて、また起伏が激しい凸凹道でしたが、スタートから約90kmでハルヌールの湖に到着しました。驚くほど水色をした湖です。
しかしすぐに湖畔は砂丘地帯になっていきました。慎重に・・・といっても、砂丘の中はすでに前走車がつけた轍が無数にあります。それをコマ図と照らし合わせながらのナビゲーションが始まりました。実はこの轍が罠なのです。
4輪のトップを行くのは、BAJAで優勝したチャレンジャーに乗る塙さん。マシンも相当速いのですが、コース取りもすごい。GPSポイントに向かってまっすぐに進んでいるのではないかと思うほど、コマ図どおりではない真っ直ぐな轍が付いています。もちろんコマ図無視ですから、コマ図には載っていない大きな穴や、凸凹がたくさん出てきます。この罠に数台がはまり、V字のクラックが入ったところで、フロントを打ち、ラジエータを壊してしまった車両も見受けられました。
僕は慎重に、コマ図よりも前を見ていました。砂丘地帯は短く、一つ目の砂丘地帯は難なく無事に通過。とりあえずほっとします。が、・・・砂丘を抜けたあたりで、コマ図が合わなくなってしまいました。
前走車の轍にしたがって走っているので、コマ図どおりの道ではないところを走ってきたためでした。GPSポイントまで10kmほどの地点だったので、GPSポイントへ向かって進むことにします。山をひとつ越えたところで、右の方向にGPSポイントの井戸を発見。本来のルートから1kmほど離れた道を走っていることが分かりましたので、この先、原野をトラバースします。このトラバースがかなり危険。草むらの中を掻き分けて進むので、大きな穴があったり、石が落ちていたりと、油断できません。このような状況では、焦ってしまいがちなのですが、さすがに会長、このような場所はゆっくり慎重に走ります。常に冷静な判断、行動がパリダカを常に完走できる理由なのだと肌で感じました。
無事にオンコースに復帰し、今回の山場、砂丘まであと少しです。
砂丘の手前で、タイヤのエア圧を下げます。このエア圧調節はスタックしないためには重要なのですが、調整に時間がかかります。走っている間、差はそれほど付きませんが、止まっている時間は大きな差になります。そのため事前に作戦を立て、エアゲージを2台用意。左右同時に作業することで、作業時間を5分に抑え、先を急ぎます。
ところが砂丘に入る直前で再びミスコース。コマ図にはCAP245で轍が薄い方向へ進むという表示が出ています。しかし、その方向には轍がありません。目標を見失ったまま、距離だけが増えていきます。
ミスコースを確信した瞬間! 前方から赤いジムニーとバイク数台がこちらに向かって走ってきます。尾上さんたちもミスコースして、引き返してきたのでした。あわててこちらもUターン。赤いジムニーの前に入ります。ミスコースした場所まで全速で戻ります。
しかし、いくら探しても轍が見つからないため、やはり全車が躊躇します。我々は賭けで、轍のないところをCAPの方向に走ります。しばらく草むらの中を走ると、轍を発見! 視野が近すぎていました。もっと遠くを見て、目標や轍を発見しなければいけませんでした。
もとの道からそう遠く離れているわけではありませんが、草むらの中にある轍を見つけるのは非常に難しいなと感じました。一瞬を見逃さない集中力が重要です。
尾上さんの前を全速で逃げます。起伏の激しい場所を抜け、大地がだんだんと砂へと変化していきます。
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