最終更新日:2008/11/17

リエゾン内での戦い

 ETAP2 ツェツェルレグーオリアスタイ
 ETAP2は588kmを11時間で走るタイムアロードというシステム。(11時間より遅くてもペナルティ、あまりに早くてもペナルティになるシステム)
 単純に計算すればアベレージ53.5km/hで走ればよいことになります。
 これが僕の油断を生みました。そう、もちろんオフロードをジムニーで走るのです。
 ジムニーはその小ささゆえに、パジェロやランクルが平気で通過する穴や、段差を拾ってしまいます。状態の良いダートでは100〜120km/h出ますが、少し道が悪くなれば30〜50km/hにすぐ落ちてしまいます。

 この日の前半のコースはジムニーにとってアベレージ53.5km/hとは難しいものでした。そのため5時間を過ぎても、目標の距離に到達できず、焦りはつのるばかり。しかも、給油を2回行わなければなりません。コースのコマ図には“景色のきれいな場所や絶景ですよ”なんて書いてありますが、一瞬で通り過ぎる焦り様。

 コースの後半はハイスピードのダートが続き、時速110kmほどで2時間以上走行できたので、最終的には余裕が出てきました。
 コースも雨が降った後らしく、ホコリも少なく、軽快にとばします。ゴールまで、20kmほどの距離の町で給油もすませ、無事に時間内にゴールに到着。余裕は1時間ないぐらい。
 尾上さんはというと、ゴール付近で1時間くらい撮影をする余裕の持ち様。エンジンは同じ、重量は断然こちらの方が軽量なのに・・・。
今日の軍配はあちらに上がりました。

思いがけない休息日?!

 この日はバイクの選手のテントやシュラフを積んだ主催者のトラックがビバークにたどり着けず、食事も届きませんでした。
 私たち4輪の選手は安全のためにシュラフを車に積んで走っています。また、車内に隠し持っている水や食料も多いです・・・。しかし、バイクの選手は持っているのはエマージェンシーブランケット、いわゆる銀紙と緊急用の食料ほんのちょっと。4輪の選手はいつもどおりテントで休みましたが、バイクの選手は主催者のテントで、ストーブの周りに集まって夜を過ごしたようです。
 主催者の掲示板には、依然次の日のスタート時間が記されています。この状態で次の日もラリーを続行するのか?そんな不安の中、夜は更けていきました。

 朝、ゲルテントを打つ雨音で目が覚めました。シュラフから出ると尋常でない寒さ。ふと横を見ると、尾上さんのナビの松田さんはすでに起きています。ナビは朝も早い!しかも、すでに情報を収集していました。スタート時間が遅くなっただけで、ラリー続行の様です。準備をするために車のところへいきます。なんとも寒く、僕は持っているものすべてを着ていました。フリースにジャケット、雨の日用に車に積んでいたカッパまで。その後のインフォメーションで、ヘリも飛べる天候でないため、結局この日は休息日となりました。ETAP3翌日に持ち越し。初砂丘も持ち越しです。

 そんなわけで、この日は車の改良をすることになりました。まず、リヤのスプリング。今回用に特注でスプリングをオーダーしたのですが、どうもレートが合わず、リヤがピョコピョコ跳ねて落ち着きません。しかも、馴染んでしまったらしく、少し短くなっていました。そのため、応急処置としてスプリングの上にゴムを挟むことにしました。しかし、そんなゴム、モンゴルのど真ん中にあるわけがありません。しかし、そこはラリー。ランドクルーザーのプロトタイプで参加しているモンゴル人のハグワーさんに話をつけ、ゴムをもらってきました。メカニックのウラナさんとアンハーさんに改良してもらいました。てきぱきすばやい動作で作業してくれます。あっという間に終了。

 周りを見ると、HINOレンジャーのナビの鈴木さんが、ロシアのスモートリチームのエスクードの下でなにかしています。ラリーコンピューターの故障で、レンジャーから部品を分けて、取り付けているようです。実はこのエスクード、ライバル尾上さんが製作し、パリダカを走っていたエスクードです。しっかりした車作りをしたマシンはこんなにも長い間、しかも競技の中で走り続けられるんだなと感激します。
 また、たしかに走り出したらみんながライバルですが、ラリーの現場ではこんなにも人と人とのつながりがあると実感した1日でした。
 そして、雨の降る寒い一日でしたが、こんな日も、会長や尾上さんはへっちゃら。酒盛りで過ごしていました。僕はお酒を飲めないので、横で静かにお話を聴いていますが、内容はもう書けないぐらいにすごい内容です。二人とも笑いながら、腹の探りあいをして明日の作戦を練っていきます。

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