最終更新日:2008/10/15
 

ラリースタート、そしてミスコース

 ETAP1 ウランバートル−ツェツェルレグ
 いよいよラリーのスタート当日。朝、ランチパックを受け取ります。ゴミはちゃんと持って帰って来るようにとオフィシャルから注意事項。環境にもしっかり配慮しています。

 車にランチパック、コマ図など積み込み、ラリーコンピューターやGPSも最終チェック。車の窓ガラスを拭き、下回りもチェック、異常なし。準備万端。

 ちなみに僕たちの車は100番。会長の定番の番号、四輪のトップゼッケンです。本来、トップゼッケンは前大会優勝者に与えられるもの。
しかし、主催者の特別な配慮でこの番号をいただいています。このゼッケンに会長の築き上げてきたもの、経験してきたものの大きさを感じ、そのナビゲーターをするものとして自然と身が引き締まります。
 まずは223kmのリエゾンからスタート。初めてのナビゲーションがうまくいきますように・・・。スタート地点は地元の人たちがたくさん見に来ていて、いっぱいの人。
 バイクの選手から順々にスタートして、いよいよ僕たちの番。スタートのフラッグを振るのは、このラリーのメインスポンサーFAcoatの松野さんです。自分もFJクルーザーで出場しているのに、自分の番の時はどうするんだろう・・・と会長と話していたら、もう10秒前。5・・・4・・・3・・・2・・・1・・・。いよいよ始めてのラリーのスタート。

 ウランバートルの市内を抜けていきます。
 驚いたのは市内を抜けたところは、すぐにたくさんのピストが走るオフロード。リエゾンでも気の抜けないダートなのです。しかも、そこを走る普通の乗用車が結構なスピードでガタガタの道を走っています。

 しばらくいくと早々に、すごいスピードで抜いていった松野さんのFJクルーザーが止まっていました。どうやら、ショックが折れた様子。まだまだ序盤、SSもスタートしていません。松野さんはこのトラブルで初日にして大きなロスとなってしまいました。
 途中には建設中の高速道路みたいなところがあります。ただ単に土を盛り上げて平らにしたといった程度で、おそらく今後舗装するのでしょう。ここはハイスピードで走ることができるのですが、建設途中のため突然せき止められていたりして危険。しっかり前を見て注意していないといけません。

 リエゾンを半分消化したあたりで良い舗装の道に出ました。ジムニーは130kmくらいで快調に飛ばします。
 青い空、平坦で見通しの良い道。直射は強いのですが、窓を開けると涼しい風が顔をなでます。なんとも気持ちがいい。ナビを忘れて寝てしまいそうにさえなります。
 気持ちの良いリエゾンを抜け、いよいよSSのスタート地点です。スタート地点では、APIOの尾上さんたちがなにやらGPSを外して、話し合っています。どうやらGPSの設定がうまくいかないようで、動作がうまくありません。一緒に試行錯誤してみましたが、ここでは解決できず。思わぬハンデをいただきましたが、油断大敵。

 スタートの15分前。ヘルメットをかぶり、インカムのスイッチを入れます。「初日だから、マシンの調子を見ながらゆっくり行くからな。コマ図もドライバー側で確認しながら行こう」と会長から温かいお言葉。
 しかしこの後、ドライバーがコマ図をチェックできないくらいのコマ図が出てきます。
 スタート地点へ進み、チェックカードを受け取り、トリップメーターをリセットして準備OK。「気をつけて」と、SSERの山田さんが送り出してくれました。

SSスタート!!

 いよいよ、SSのスタートです。
 スタートしてすぐ、100m〜300mおきにY字路が点在する区間に突入しました。時速80kmぐらい出ているので、その間隔は10秒足らず。数箇所のY字をクリアしたところで、コマ図の絵と距離が実際のものと違うことに気づきだします。
 車載してある3台のGPSにはコマ図にところどころ書いてあるGPSポイントを入力し、自動で次のGPSポイントの方向を矢印で指しています。が、GPSもだんだん進行している方向とは明らかに違う方向を向いています。いきなりミスコースをしてしまいました。
 しかたなくGPSの矢印に従って進みます。幸い初日、しかもトップゼッケンでのスタートだったので、後から来る車を目印にオンコースに復帰します。ミスコースした分の距離も計算に入れながら、コマ図を追いかけます。
 しばらくすると後ろから気になるヘッドライト。そう、宿敵尾上号です。しかもこちらの様子を見られているような・・・。
 しかしそれよりも、僕は自分のナビゲーションに必死になっています。

 CP1から15kmほど行ったところで、コマ図には「薄いピストを進め」という指示。指示通り薄いピストに乗って進みます。次の瞬間、ピストがなくなりました。 一瞬どうしていいか判らず、GPSを確認します。矢印は進行方向の真後ろ。しかもGPSポイントまで8km。「ミスコース」そう思い込みました。 しかし、実際はミスコースではなく、山を一周してGPSポイントに向かうのが正解。SSERの山田さんが仕掛けたトリックです。 尾上さんや103番の小川さんらとコースを探してウロウロ。しばらくしてピストはあるものの、GPSは正反対を向いたままです。尾上さんたちはミスコースを確信したのか、引き返していきます。
 頭の中はパニック。確かにすぐ手前のコマ図までは合っていました。我々も少し行ってから、もう一度確実なコマ図の地点まで戻って、正しい道を探します。しかし景色が同じような場所ばかりで迷うばかりです。仕方なく引き返し、山を回れそうな場所を探してGPSポイントへ向かいます。尾上さんたちも同じところを走ったのでしょう。

 しばらく走ってようやくGPSポイントへ到着。走りながらコマ図と距離を合わせます。CP2でオフィシャルに尾上さんとのタイム差を聞くと、15分もの差がついてしまっていました。
 先ほどの尾上さんたちとの判断の差がこの差を生んでしまいました。しかも、この先でもミスコースをしてしまいます。 村の近くを通り過ぎ、ガソリンスタンドの脇をとり抜けたあたりからコマ図が合いません。本当にこの道でいいのか、不安になりながら進みます。コマ図と照らし合わせて、何とかオンコースらしき道に復帰。
 なんと最後はクルマに酔ってSSゴール。ふらふらです。最後のミスコースで必死になってコマ図を見ていたのが悪かったのか、クルマに慣れていなかったのか・・・。とにかく、情けない感じで初日が終了。

 会長から、ナビゲーションの時に声が大きいことや、もっとゆっくりと確実に話すことなどを言われました。緊張や焦り、不安がそのまま口調や指示に現れてしまっていました。なんとも情けない一日となってしまいました。
 初日にして尾上さんたちとの差は14分もの差がついてしまいました。
 この時、僕はこの差の大きさに気づいていませんでした。
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