最終更新日:2008/09/18
■「TEAM APIO 親父たちの熱き戦い」に参加して
 

参戦への戸惑い

 昨年入社し、年末年始はパリダカのお手伝いでフランスへ行き、戸惑い、焦り、不安とたくさんありましたが、今年はなんとモンゴルで会長のナビをすることになるとは思ってもみなかったことです。実は1〜2年後を目指して自分で参戦計画を立てていたのですが、ラリーを知るには参加するのが一番早い。と考えてもみなかったチャンスをいただきました。
 正直なところ、不安と戸惑いが一番先にやってきました。初めてのナビゲーターで、初めての海外ラリー。しかも、ドライバーはパリダカの鉄人、菅原義正・・・。戸惑わないほうがおかしいでしょう。しかも、戦う相手はパジェロやランクル・・・なのですが、昨年も熱いバトルを繰り広げた同じチームのAPIO尾上・松田組のジムニーには決して負けられないという大きなプレッシャーがありました。相手はパリダカをも戦った名コンビ。対するこちらはパリダカの鉄人と若造・・・。あちらは平均年齢が61歳、こちらは45.5歳。平均年齢はこちらが勝ってるぞ、と会長・・・。

 車両は昨年もモンゴルに参戦したジムニー。ラリーに参戦するための改造はほとんど終わっています。しかも今年は、昨年よりもさらに軽量化し、両側のドアをFRP化。サスペンションスプリングもワンオフで製作するなど、昨年よりも戦闘力が格段にアップしています。ところがこの車、他のラリーカーたちと明らかに違う部分があります。それが、ドライバー側に取り付けられたマップホルダー。通常はバイクの選手が一人でコマ図を見るために使用するものです。もともと一人乗りとして作られたために取り付けられたものですが、ナビゲーター一年生を乗せるため、そのままにしてあります。まさに、ナビゲーター教習車。ナビゲーターのナビゲーションをドライバーが横でしっかりとチェックします。恐ろしい車です。

 船積み前に、御殿場や長野にてテスト走行も行い、車は万全の状態。後はナビゲーションの準備だけとなりました。
 日本出発の数日前に主催者からコマ図が送られてきました。コマ図の中にGPSポイントが書いてあるので、これを元にGPSにポイントを入力していきます。
 主催者のSSERでも入力してくれるのですが、ここは勉強のために手で入力することにしました。しかし、これが結構時間がかかります。数字がひとつ違うだけで全然違う場所になってしまうのですから、ひとつひとつ慎重に入力します。しかも、今回参戦のジムニーは3台のGPSを使用しているため、一晩かけて入力していきました。また、コマ図には重要なこと、別れ道での進む方向や、方位角度など、色をつけてわかりやすくしていきます。  しかし、道の想像ができず、モンゴル行きの機内でもコマ図の予習は続きました。

不安いっぱいでモンゴルへ


 出発日当日、成田空港で大先輩にして最大のライバル、APIOの尾上さんと松田さんとお昼をご一緒させていただきました。ここでも休まぬ探りあい。ドライバーの会長はすでにモンゴルに入っているため、僕が完全に餌食に。尾上さんの誘導尋問に危うく作戦を喋ってしまいそうになります。
 しかし、僕はそれどころではありません。初めてするナビに不安を覚え、機内でも先日送られてきたコマ図をずっと離せませんでした。

 コマ図の予習・・・とは言っても海外のラリーは初めてで、コマ図のどこが重要なのか、どこに注意すればよいのか、ナビゲーターの先輩でもある鈴木さんや羽村さん、小石沢さんにアドバイスを受けても、「道」が想像できないため、頭の中のイメージができませんでした。

 ちょうどモンゴルの夕暮れ時、夜9時ごろでした。ホテルに着き、会長と合流。到着してすぐに、カイザーさん(パリダカのバイクメカニック)のグループのドイツ人が、バイクをコンテナから出しホテルへ向かう途中に犬と衝突し転倒。肋骨を折ってリタイヤという知らせを受けた。「ラリーはスタート前からすでに始まっている。スタートして、ゴールに着かなければ意味がない。」という会長の言葉が僕の緊張を高めました。
 すでに気が抜けない戦いは始まっているのです。また、ホテル近くのゲートはいつもは開いているのですが、時々縄が張ってあるそうで、バイクの選手に注意するように、と会長はライダーに会うたびに一人ひとりに言っていました。すばらしい優しさに影で感心しました。

 スタート前日、この日は車検日ですが、ジムニーは日本での車検で注意された点も修正し、無事に合格。その後、僕たちのサポートカーに荷物を積み、準備OK。
 サポートメカニックは昨年もこのジムニーの整備をしてくれたバイラーさん(パリダカのサポートドライバー)の息子のウラナさんとその友達のアンハーさん。僕よりも若い2人ですが、仕事も速く、頼もしい2人です。
 それにしても、初参戦からメカニック、サポート付きとなんとも恵まれた環境での参戦となり、大変恐縮してしまいます。

 夕方からブリーフィングとナビゲーター初心者の講習会がありました。今年のモンゴルラリーはとても国際的で、ブリーフィング会場には8カ国からの参加者が集まり、メインは日本語ですが、ロシア語、モンゴル語、ドイツ語は同時通訳です。まさに国際大会です。  挨拶やルールの説明の後、いよいよ明日のETAP1のコース説明。
 リエゾンは良い道も多いとのことでしたが、SSはナビゲーションが難しいとのいうお知らせ。この言葉のとおり、次の日は大変なことになるのですが・・・。
 ブリーフィングの後はナビゲーター初心者のための講習会。講師は主催者SSERの山田さんと、なんと社長の菅原照仁。しかも、僕の隣にさりげなく座っているのは鈴木さん。HINOレンジャーのチーフメカニックであるとともにナビゲーターです。「鈴木さん、プロなのにズルくないですか?」と聞くと、「モンゴルは初めてだからね」と一言。初心忘れるべからず。また、得られる情報はすべて得ることが重要なんだと思いました。
 ラリーでは主催者の本部近くに設置される掲示板をこまめにチェックすることも重要で、スタート時間の変更などがよくあります。寝る前に主催者の掲示板をチェックして、次の日のスタート時間や、スタート順を確認して、早めの就寝となりました。

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