|
|
ゴールに到着した時、私の中で回想テープが回り出しました。
8日間3500kmのラリーがまるで走馬灯のように思い起こされ、その時その時の様子や情景が思い巡って止みません。
前へ前へと進むことしか考えていなかった私は、ルートブックの全コマ地図を消化してホッとするどころか、もうこの先には失敗を取り戻し、挽回する道がないことへの淋しさでいっぱいでした。
走っている最中は、次から次へと目から飛び込んでくる情報に対応することが精一杯で、1秒前の過去形の出来事を振り返る余裕が無かった私は、それら全てが終わった今、解きほぐすように消化するように、目の奥に焼きついた回想シーンをなぞりながら、もう一度雄大なモンゴルの大地を駆け巡ります。
けれど私はいつも同じ場所に辿り着いてしまいます。そこで私の回想シーンは一時停止状態になり、そして私はリセットボタンを探します。
でもそんなモノなどありません。
封印していた感情や涙が、溢れ出てきました。
|