Etap4 ゾーモットの泉へ

Etap4は、ゾーモットと呼ばれる小さな湧き水のあるビバークへの行程である。ライバルの尾上さんにリードして迎えたスタートラインだったが、リードはわずかなので精神的な余裕は全く無い。そんなときはミスが出る。
スタート直後、室内にガタガタと騒音。前日に積んだガソリン携行缶の固定が不十分だったため、振動で緩み音を発している。ラリーの競技車両は一般に燃料タンクを増設し、長距離走行に耐えうるように改造されている。我々の車両の場合、増設した燃料タンクの給油口は屋根上に設置されている。これが少し問題で、このラリーではRCPと呼ばれる競技中の給油場所ではタンクローリーから給油を受けるのだが、給油の原理は単純に落差を利用したものであるため、タンクローリー内の油面より高い位置に給油口があると燃料が落ちてこないため給油できない。このため、タンクローリーから給油を受ける場合は一旦携行缶に燃料を入れてから、携行缶を屋根上に持ち上げて給油する方式を取っていた。この携行缶が、ガタガタと音を立てていたのである。
競技中、ナビゲーターももちろんそうだが、ドライバーはその何倍も神経が過敏になる。ナビゲーターとしてはドライバーに気持ちよく運転してもらうために、言葉の一つ一つにも注意を払う必要があるにも関わらず、このガタガタ音は完全にドライバーの神経を刺激していた。 「何の音だ!」「すみません携行缶が緩んでいます!」「何やってるんだ!運転に集中できないだろ!やることの一つ一つが甘いんだ、自分のやった事が次にどうなるか想像して仕事をしろ!RCPで完全に直せよ!」、「はいすみません!」と車内では大声でこんなやり取りが展開されていた。
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