■ Facoat RALLY MONGOLIA 2012 参戦記 最終更新日:2012/12/06

 


参戦車両

突然の誘い

 Facoatラリーモンゴリアへの参加は、ある日意外な形で訪れた。
 勤務先の会長に突然、「来年のラリーモンゴリアのナビをお前の名前で申し込んだけどどうする?」と言われたことから、自分のラリーモンゴリアへの挑戦は始まった。勤務先の会長とはご存知"ラリー界の鉄人゛菅原義正。自分はこの人物に憧れ、ラリーを志し、彼の元に入門した。憧れの存在であり尊敬してやまない鉄人のナビに指名されたことは、自分にとってはとても大きな感激であると同時に、とても重い重圧を意味していた。

 大役に指名されもちろん嬉しくもあったが、重圧はそれ以上に大きく、このとても嬉しい出来事を誰にも話せずにいた。 ある日兄弟子と慕う人物がこの事を聞きつけ、「おめでとう」と電話をかけて来てくれた。あまりの嬉しさに思わず電話口で涙を流したことが思い出される。実はこのあと自分はもう一度感動の涙を味わうことになる。


車両製作工程

 参加が決まればレースに向けて車両製作に専念するだけである。車両はすでに会長がラリーモンゴリアのパートナーとして熟成を重ねてきたスズキ・ジムニー。これまでのラリーモンゴリア参戦で軽量化を中心に改良を重ね、ある年の参戦ではエンジンマウントの破断も経験し、この点の強化なども対策済みのほぼ完成された形といえる車両である。

 しかし鉄人菅原は更なる軽量化を目指す。スペアタイヤを二本積むことが競技のルールになっているが、ホイール付きとは記載されていない、と二本のうちの一本からホイールを取り外した。これはパンクした場合タイヤをホイールから外して交換しなければならない事を意味しており、場合によっては交換の際の時間ロスになる。しかし鉄人は「このタイヤはパンクしないし、するような走り方はしない」と軽量化のメリットを優先させる選択をした。それでも「万が一のためにタイヤ交換の練習をしよう」とタイヤ交換のやり方を教えてくれた。
 さらにエアコンはパワーロスと重量増になると言って外してしまう。「暑ければ窓を開ければいい、寒かったらこれを着よう」と軽量のダウンジャケットを与えてくれるなど、徹底した軽量化へのこだわりを見せる。また「これを履けば軽量化になる」と、アフリカで購入した薄手のズボンを貸してくれた。

 車載する工具なども一点ずつ見直し、不要なものを下ろし、軽量化を進める。自分もこれに応えようと減量を開始、昼食をカロリーの低い豆腐だけやサラダだけにし、すぐに体重を5kg落とした。すると会長もダイエットを始め、体重をすぐに3kgほど落としてみせる。「軽量化はエンジンをチューニングしなくても同様の効果があるということを常に意識しながら車両を作りなさい」と教わった。「エンジンチューニングなどは大金が必要となるが、軽量化は工夫次第でお金をかけずに効果を上げることが出来る。お金をかけて速い車を作ることは簡単だが、長続きしない。」とレースを続けるために必要な考え方なども教わった。

 このように車両をただ速くするだけでなくレースをする上で大切なことのすべて、を会長との車両製作の過程で学ぶことが出来る。菅原学校に居るようだ。

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