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| 最終更新日:2006/10/30 |
■菅原義正のライノ参戦記
車両は前回の反省を踏まえて、大幅に改善を施しました。
後付けの追加燃料タンクは10リッター増量の40リッタータンクと交換し、リアの荷台は取り外して、さらに軽量化を図りました。
そして今年一番の改良点は、ワイドトレッド・キットをアメリカから取り寄せ、トレッドを180mm拡大させたことです。ところが前後同じタイヤを装着させようとフロントタイヤをリアにも装着させてみたのですが、ホイールのオフセットが前後で異なるために合いません。そこでパリダカで得た経験により特別にリアにアダプターを装着し、前後のトレッド幅を揃える事によって、前後同じタイヤを装着することができるようになりました。フロントタイヤで統一することによって走行時の抵抗が減り、またスペアータイヤの本数も減らせるので一石二鳥です。
ライノはそもそもハンティング用として作られた車なので、ラリーのような埃の中を走行する想定では作られていません。そのため昨年はRCPで休憩する度にエアークリーナーの交換が必要でした。ですので今年はインテークを伸ばして埃の少ない位置から吸気するようにしました。これが大当たりで500キロを走ってもクリーナーは綺麗でした。
昨年はメカサービスを岩崎モータースにお願いしましたが、彼たちは四輪部門で出場することになったので、急遽ドイツからカイザーさんにメカをお願いしました。彼は2002年大会にパイロットで出場した時にも担当してくれたことがあるので、安心して任せられることが出来ました。
今年のライノはアメリカ・ヤマハさんのご好意で、新しい青色のボディカウルをいただいたので、外見は完全な新車になりました。
1日目のSSスタートは昨年と同様、次男の照仁のカウントダウンでスタートしました。長男がデザインした車両に親父が乗り、次男の合図でスタート。幸せを感じる一瞬でした。
ところが297キロのSSを終わってみると、平均スピードは47km/h。
昨年は60km/hだったのに、どうした事だろう。湿地帯にはまっていた101番を牽引して引き出したり、ミスコースでロスした時間が平均スピードを落としているのかと思いましたが、どうやらスタート前にメインジェットを昨年より更に絞ったのが原因のようでした。しかしプラグをチェックしたら焼が良かったので、そのまま行く事にしました。
2日目の後半には、左リアのショックがやられてしまいました。今のショックは複動式と言って加圧側にも効いており、加圧側には窒素ガスが注入されていますが、そのガスの注入口に石がヒットしてガスが抜けてしまったため動き量が大きくなり、ショック自体が加熱してオイルシールもやられてオイルが無くなっていたのでした。
しかしそこは流石、カイザーさん。ショックをバラバラにして何処からかフォークオイルを用意して、エンジンオイルとをシェークしてオイル粘度を上げ、やられているシールからのオイル漏れ対策をしてくれました。折れたガス注入口は池町さんからバイク用チューブを手に入れ、口金部分を使って新設して空気を入れて対策をしてくれました。
しかし翌日カイザーのスペシャルショックも、午後にはだめになってしまいました。
昨年は純正仕様だったので、予備のショックも持ってきたのですが、純正のショックだと長さが合わないし、1本5万円(岩崎モータースの出場車両と同じ値段)もするので、買いきれなかったことが悔やまれました。
そんなこんなで走っていると右側のショックもやられてゾーモットに到着。
翌日は休息日だったのが不幸中の幸いで、101番の近藤さんのバギー用スペアーショックを借りて、新たに1セットのショックを新設して取り付ける事にしました。
ところがTIGやMAG溶接に慣れている人には、キャンプ地で用意されているフラックス付の棒溶接はなかなか難しく、#103小川さんに助けて頂きやっと完成。チョット硬めですが、最高の出来上がりでした。
今年も結構ミスコースをしてしまい、ヤマダマジックから抜け出せない日が多かったのでが、私はパリダカの訓練として出でいるので、全工程88時間と言うのはパリダカと同じ位の走行時間であり、良い訓練になったと思っています。
カブやミニクーパーで完走したチーム、エコの走りで優勝した横田さん、皆、素晴らしい自分との戦いをしておりました。
特に関心したのは、岩崎モータースチーム。5万円で買ったプロシードで自分の運転技術、車の疲労度、初めてコースを上手に頭に入れて、無理の無い運転で完走した事です。普通はスターターがカウントダウンした瞬間に平常心が崩れてしまい失敗するのです。
101番の近藤さんも昨年とは大違いで、毎日、明るいうちにゴールしていました。一人でナビゲーションをして運転するのはとても大変な事です。特にあの低い位置から目的物を確認するのは至難の技で、ナビゲーションもしっかりしており、驚きでした。教え子に成績では負けましたが、素晴らしい成長を嬉しく思っております。
表彰式でもお話しましたが、我々が安心して競技が出来るのも、主催者の山田さんをはじめスタッフの皆さんのお陰と感謝しております。
10年も続けられた山田さんの情熱と自分自身に投資した選手の皆様に乾杯。
山田さんのお力だけではラリーは成立しません。我々参加者がもっとこのラリーの素晴らしさを伝えて、今後より多くの参加者を集める義務があると思っております。
感動をありがとうございました。
菅原義正
【ご協賛各社】
・株式会社アライヘルメット
・山本光学株式会社
・MERRELL
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